息子の吃音
うちには高校生の息子がいる。
言葉を話しだした幼い時から、どもりの症状があった。
随分心配したがいつか治るだろう、と思っていた。
だけど、吃音(どもり)は現在も続いている。
小さい頃は、お、お、お、お、お、おかえり、のように、単語の最初の言葉を繰り返してしまう症状だった。
近所の子供に、この子はどうしてこんなしゃべり方なの?と聞かれるたび、わざとじゃないんだよと説明していたが心がギュッとなっていたのを覚えている。
小学生になると、言葉の問題と共に随伴症状もでてきた。
言葉をなんとか出そうとするあまり、同時に体や顔の筋肉が動いてしまう。
周りの同級生から指摘されることもでてきて、本人も意識してしまい症状がよくなることはなかった。
一番苦労したのは、学校での発表だったと思う。
みなの視線が本人に向かう。
緊張するとますます声は出にくくなる。
私も授業参観で本人の発表を見るときは、どうかうまくできますように、と祈るような気持ちで見守った。
小学校の中には言葉の教室という通級の教室があり、放課後週に一回通っていた。
そこで言葉の先生が教えてくれたことは、
どもっててもいいんだよ、ということ。
僕は(言葉の教室の先生)は、吃音をなおしてあげることは出来ない。でも、どもっても大丈夫だよ、一人じゃないよということを
教えてくれた。
幸い、小学校六年のときはクラスの友人に恵まれ、息子がどもっても皆息子の言葉を待ってくれた。
友達ともよく遊びにでかけていたし、友達がたくさん来ることもあった。
卒業式で卒業証書を渡される時に名前を呼ばれ「はい」と返事をする場面。
どうか「はい」と言えますように、とドキドキしながら見守った。
小さい声だったが、呼ばれた後一呼吸おいて「はい」と言えた。
小学校は先生や友人のおかげで無事に過ごせたが、このあと波乱の中学生活に入っていくことになる