吃音サバイバル
人間形成において中学生という時期が、一番厄介な時期だと思う。
入学した公立中学は荒れていた。
息子は吃音の他にも、過敏性腸症候群、食物アレルギーをかかえていた。
色んな小学校から色んな生徒が集まる中学。
吃音は自分ではどうしてもコントロールできない症状で、本人にはなんの責任もない。
吃音があるせいか、息子は自分から積極的に話しかけるタイプではなく大人しい。
お腹が弱く、小学生のころから過敏性腸症候群の薬を病院からもらって服用していた。
トイレがいつも心配で、学校生活自体もいつも不安定な感じだった。
でも入学と同時に部活に入り、毎日汗と泥まみれで頑張ってるようだった。
部活は保護者も大会の手伝いや遠征の手伝いで大変だったが、なんとか仕事の折り合いをつけ、できるだけ子供の部活動に関わるようにした。
一年生のときは、三年の先輩が事情を理解してくれ特に問題は起きなかった。
その三年の先輩が卒業してしまうと、
事情を知らない先輩や同級生が息子の吃音をからかうことがでてきた。
また、部活の大会でお昼ご飯食べる時も、みなが仲良い同士で食べるときも、息子のいつも1人だった。
長いベンチの息子が座る両隣はガラリと空いており誰もいない。そんな光景をみるたびに、胸がチリチリと痛んだ。
でも本人が解決する問題だと思い、見守った。
本人は何も言わなかった。
家では学校の話も部活の話も全然しなかった。
学校も部活も休まなかった。
が、二年のある日
部活から帰ってきて、私に言った。
「部活で殴られてる」と。
とにかく、殴られるだけでなくいろんなことが起こっていることが判明し、私はショックと同時に怒りで頭に血が上ったのを覚えている。
しかし書くと辛くなるので省略します。
学校に間に入ってもらい、一応の解決をみたが、部活が息子が孤立してることに変わりはなかった。
三年になり受験の季節になったとき、できるだけいい高校を目指すことにした。
理由はふたつ。
一つ目の理由は、単純に成績の良い高校は常識のある生徒も多いだろうし、勉強が大変だからイジメなどしてる暇ないだろうということ。
二つ目の理由は、その高校は私が卒業した高校でもあるのだが、当時先生や生徒は良い人間ばかりで穏やかに高校生活を過ごした思い出があったからだ。
高風は受け継がれる、と思ったからだ。
昨年春、無事にその高校に合格した。
高校にはいると、実際はまぁ色んな人がいるのだろうけど、今のところ中学とときのような問題は起きてないようで皆勤賞をもらっていた。
来年度から高校二年生。
勉強は大変だと思うが、穏やかな学校生活が送れることを願う。